「専業主婦」って何なんだ!?

最近は「共働き」という言葉が聞き慣れてきたが、とあるネットの記事で「そもそも日本の伝統的な家族観は専業主婦ではない」という意見を目にし、私は少し面を食らった。その意見は、歴史的背景や世界観を無視する政治家に対する苦言であったが、私自身も勝手に日本の家族様式だと思っていた節があるため、この記事を書くに至った。

 

 

 

 

専業主婦とは何か

 

簡単に言うと、家事や子育てなど、家のこと全般を従事する既婚の女性のことを言う。感覚的には、夫が外でお金を稼ぐ仕事をし、妻は家でお金が発生しない仕事をしている感じだ。この文化は日本だけでなく、海外でも専業主婦をする文化はある。

 

専業主婦の歴史

 

私のような20代前半の人たちは、体感的に、共働きと専業主婦の親が半々いる世代だと思う。最近になって共働きをする家庭が増えてきたからだ。そんな私たちにとって専業主婦という家族観は、昔からある日本の伝統的な文化と錯覚してしまいがちかもしれない。

しかし、実際は専業主婦という文化は、比較的新しいものである。日本では大正時代から主流となってきた文化だ。単体でこの文化が発生したわけではなく、サラリーマンと同時に発生したといわれている。むしろその前までは、共働きが主流であり、専業主婦は一般的ではなかった。この背景には、職業形態の変化が深くかかわっている。

産業革命のよる工業化が専業主婦の発生の原因とされており、農業から工業への移行が賃金上昇と男性雇用の拡大を促進し、また国も男性が稼ぐ世帯を前提とした保険や扶助に関する制度を作り始めた。この職業形態の変化による動きは日本だけでもなく諸外国でも同じようにあった。イギリスでは19世紀の中ごろから20世紀中ごろに専業主婦は確立した。

産業革命前の農業が主な職業であった日本では、収入も安定せず、全体的に賃金が低かったために家族全体で働くことが多かった。そう考えると、専業主婦が確立できたのは、なにより工業化による賃金の上昇の恩恵が強いと考えられる。

 

現在の状況

 

近年になって共働きという言葉はよく聞くようになったと思う。そう、現在専業主婦の割合は減ってきている。今までの歴史から考えると、専業主婦というのは高度経済成長期にポッと出てきた新しい文化に過ぎず、その文化がさらにバブルによってたまたま長いこと続いただけであり、大きな歴史の流れで見ると異質なものである。つまり賃金の平均が急に上がったためにできたことであり、当然その平均が下がってきたのなら衰退するべき文化である。にもかかわらず、いまだに過去のバブル期を引きずって、日本の伝統的文化などと発言することは愚かなことである。

また、個人的には日本における、武士のころから続く女性差別の問題も、専業主婦が主流になったことで、より問題が深くなったはずだと考えている。人間が生きていくうえで一番必要なものにおいて意図的に男女で差をつけることは、本能的に立場の違いを感じてしまうはずである。そのために、現在専業主婦が差別用語とされていることには納得できる。差別問題とも合わさって、このままこの一時的な風習は衰退していくはずだ。

 

 

まだ20代である私の肌感覚で言うと、この異質な文化も女性軽視も年功序列も、古い時代人の産物であり、多様化を始めた時代に生まれた私たち根本的に馴染みのない文化であると感じる。そんな私たちが日本を代表する世代になったときに、若い世代たちにはどんな言葉をかけられるのか、不安でありながら楽しみである。